張り手で人は殺せる『悪人伝』

『悪人伝』 韓国映画/2019年 (英題:The Gangster,The Cop,The Devil)

(!ネタバレあり!)

 

 

2005年、ある殺人事件を調査するチョン刑事は、先に発生したいくつかの事件との共通点を見つけ連続殺人事件だと確信する。

一方、極道の頭ドンスは一人で帰路についていた夜、突然何者かに襲われる。

犯人は同一人物と気づいた2人は共闘し、殺人鬼探しをすることとなるが、、、

 

 

 

マブリーことマ・ドンソクの最新作だ、わっしょいわっしょい!と観てまいりました!

 

 

なんですが、、

 

これは完全に私が悪いのですが、観る前に物凄く期待値を上げちゃったんですよね。。

なんかこう「新しき世界」級の作品を観るぞ!みたいなテンションに勝手になっちゃってて、、、

なので個人的に若干肩透かしを食らってしまったなという。。。

 

いやっとは言え、確実にレベルの高い作品なのは間違いないんです!

アト6のムーヴィーウォッチメンコーナーで宇多丸さんもおっしゃってましたが、色んなジャンルの美味しいとこ全部乗せ映画なんですよね。

そういうある意味ライトでありながら、きっちり楽しい要素を提供してくれる娯楽作として鑑賞するのが正しい姿勢だと思います。

 

 

言わせてもらうなら、私的にもうひとつ食い足りなかったのが、バディ感でして。。

 

極道もんのドンスと荒れくれデカ武井壮ことチョン刑事(宇多丸さんはマーク・ウォルバーグ意識であると。ほんとだ、似てるわ)が殺人鬼を捕まえるために共闘という最高に上がるシチュエーションですが、この2人が(心理的に)バディ化する演出がもう少しあっても良かったのではと思います。

刑事極道入り混じっての打ち上げで酒飲む際、チョン刑事がうっかり横向いちゃう(無意識的にドンスを敬ってる)シーンは、本来楽しいはずなんですけど、少し唐突に感じちゃいまして。

ただ、部下手下たちが一緒に頑張るくだりの、どっちがどっちだ感などはとても楽しめました。

(犯人に気づかれないようにというお達しにも関わらず、非常に分かりやすく暴れてましたね笑)

 

 

また、この手の作品の華である暴力描写は安定の韓国印でした!

実は人が入ってたサンドバッグ、お前みたいな生意気な野郎は殴らず前歯を抜く(人力で)、うるさい同業にはヘビー級連続張り手(ビンタで人って殺せるんだという学び。あの人死んだよね?)

全てマブリーのお仕事でございます。

不死身感も素敵でしたね。割と長めな包丁で結構刺されても、近距離からの車にダイレクトにはねられても大丈夫!

 

 

 

役者陣も皆さんいい顔でした!椿の所長が出てきた時、あ、この後オンサンに左遷されたのかと一瞬世界線が混乱しましたが。

そんでこちらも椿組のヘオ・ドンウォンさん(ヒャンミ脅すヤクザ役)、やっぱこの人気になりますわ。

あの、なんと形容していいか分からない容貌。パーツは優しげなんだけど、うーん、なんかマスクっぽいんだよな。

宇宙人とか演ってほしい感じ。

 

 

 

終盤、犯人がクソ過ぎる故、利己のみが大事な極道ドンスが利他的行動(自首&証言)が本作のクライマックス。

立派なもんもんを拝領致しました。

(まぁここに至らしめるため、犯人の殺人コンセプトがぶれまくりますが)

 

 

 

そしてラスト、あえて奴を法の手に渡した意味がわかるあのマブリーの笑顔!!

ごちゃごちゃ言ってもあのニッコニコを観たら、もうオールオッケーですわ!!

 

 

本作、ハリウッドリメイクが決定しマ・ドンソクが同じ役で出演されるという事で、こんな嬉しいニュースはないですな!

米国での祭りも期待しております!!!