これが絶望だよ『チェイサー』

『チェイサー』 韓国映画/2008年

(!ネタバレあり!)

 

 

元刑事でデリヘル店を経営するジュンホは嬢の失踪にいらついていた。手付金を持ち逃げされたのではと疑う中、その嬢の最後の客から派遣依頼の電話が来る。

そこで風邪をひいて寝込んでいたデリヘル嬢ミジン(子持ち)を無理やりその客のもとへ派遣するが、、

 

 

 

 

 

つつつ辛え~~~~~~!!!!!きちーーーーー!!!!キツ過ぎるーーーーーー!!!!

 

持ってかれました、、、、、っ。

 

最近ライトなエンタメづいてたんで、久々腹にドガンッと来ました!

つまり最高の映画体験だったという事です!

さすがナ・ホンジン監督!これが長編デビューってどういう事???!!!!

 

 

ナ監督作は『哀しき獣』『哭声』ともに鑑賞済みですが、私はこの『チェイサー』が1番好きでした。

とにかくテンポが良い!画だけで状況を説明し、どんどん進む!2時間超えなのに全くダレない!

 

 

鑑賞前はタイトルがチェイサーという位だから、『悪魔を見た』的な感じかなと思っていたんですが、序盤犯人があっさり捕まる展開にまずびっくり。

そこまでの凄惨さも凄かったです。

 

あの汚ねぇ水場。あの画一発でここで世にも恐ろしい事が行われているとわかる禍々しさ。

そんでチラッと映る超怖い髪の毛。。ぐわぁ。。

殺し方も嫌でしたねー。すんなりいかない感じ。最悪。

 

 

そこからもう2人程殺したあと、殺人鬼ヨンミンとジュンホがばったり事故り、ヨンミンは警察へ。

その後、ヨンミンが取り調べ受けたり、ジュンホが暴れつつ独自でミジンの行方を捜すわけですが、

 

警察の無能さよ!!!最初っから最後までずーーーーっと無能ォォォォォーーーー!!!!!

ナ監督作品の警察は基本無能ですが、もう怒り死にしそうでしたよ!!時間ねえのになに山とか捜索させてんだよ!!それはキムチの汁だバカ!!昼寝してんじゃねえボケ!!!

 

ジュンホもジュンホでまじクズですしね。お前が無理やり行かせたせいだよ!!!

 

という負い目を幼い娘の存在で自覚し、共に行動する事で徐々に人間性を取り戻すんですが、ここもね、、

 

あの娘さんの慟哭がほんと辛くて、、、(あえて大雨に被せる引いた演出が更に、、)

 

 

そんで殺人鬼ヨンミン。

この最悪ゴミクズクソ野郎の描き方が素晴らしかったです。(こいつが1番悪いのは分かってますよ。)

空っぽなんですよね。何も考えてない。だから簡単に白状するし、意味のわからない言い訳や嘘を吐く。

取り調べで、EDが原因だろうと詰められますが、おそらくそれもただのきっかけであって深い背景など無いように思いました。

きっとこちらが納得出来るような理由はないんです。なぜあんな事をするのか全く理解できない、だから凄く怖いしおぞましい。

(あのチラッと出てくる甥っ子の姿、、、)

 

 

終盤の地獄展開もほんとこっちが死にそうでした。。。

実は息のあったミジンが必死の思いで屋敷から脱出し、雑貨店みたいな所まで来れた時、私心底ホッとしたんですよ。

良かった、ミジンだけは助かってくれるって。

だのに、だのに、、、、

(あの地域、なんであんな人いないんだよ!!!これだから金持ち地区は嫌なんだよ!!!!)

 

そこから『FUNNY GAME』もかくやという、ヨンミンに都合いい展開。

絶望、、、、、、っっ。もう辛すぎて詳しく書けない、、、、っっっっっ。

(あそこもさ、2人で尾行してたのに、1人電車に乗り損ねるっていう布石な。。)

 

 

ラストはジュンホとヨンミンのタイマンでしたが、ここのエクストリームさがエクストリーム過ぎて、もはや笑いました。

人間、ひどすぎると笑うんですよね。(褒めてます)

 

 

最後、病院で眠るミジンの娘をジッと見つめるジュンホ。

彼女の無事を救いと捉える向きもあるようですが、どうでしょうね。。そう簡単には救われないんじゃないかな。(特にジュンホ)

私には絶望しか残らなかったです。

(強いて言うなら、ジュンホがヨンミンを殺し損ねた事はまだ良かったのかなと。)

 

 

とにかく前編通してしんどい映画ではあるんですが、時折オフビートな笑いも入るまさにナ・ホンジン印な重量級作品でした!!

こんな体験、映画でしかしたくない!!!!