松たか子礼賛ドラマ『大豆田とわ子と3人の元夫』

『大豆田とわ子と3人の元夫』

日本ドラマ/2021

 

(!ネタバレあり!)

(自分がわかりやすいよう、役名ではなく本名を敬称略で記しております)

 

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設計会社社長の大豆田とわ子と3人の元 夫をメインに様々な人間模様を描く

ロマンティックコメディー。

 

 

 

坂元裕二脚本作品との事で鑑賞致しました。

 

坂元作品に関しては、ドラマ「問題のあるレストラン」「カルテット」2作と、著書

「往復書簡 初恋と不倫」を拝見済みで、どれもとても楽しみました。

特に「カルテット」はかなりハマった方だと思います。(テーマ曲が林檎先生ということもあり。)

 

 

で、今作の感想ですが、

 

 

「空虚」

 

 

 

空虚でした。

 

空虚でしたね〜。。。。。

 

 

これまで観た坂元作品から受ける印象は(たった3作ですが)

日々の中のちょっとした違和感を言語化しつつ、

フワッとした「一般常識」とされるものや、無意味な同調圧力から外れてしまった人を真摯さとユーモアを持って掬い上げると同時に不穏さも差し込んでくる、

といった感じ。

 

諸々を言語化する際の台詞回しのクセが坂元節なんだと思いますが、

今回そのクセだけが全面に出てきてしまったような気がします。

 

 

もうまず設定が自分的に無理なんすよ!!!

 

元夫が3人いるのは別にいいんだけど、その夫達が事あるごとにとわ子の自宅に

押しかけてくる。

 

なんで??!!!

 

その未練と行動力が怖いんだよ!!

 

しかも元夫たちはやたらつるんで元妻の私生活に口出してくる。

 

なんかやだ!きもい!!!

 

そんであの異常に物分かりのいい娘はなんなんだ。

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なんなんだよ!!!

 

 

前半はとわ子と元夫+彼らのちょっとした恋路で後半はとわ子の恋路という

作りでしたが、

この前半のそれぞれの恋路はまるで意味わからんかったです。

 

特に岡田将生パート。

岡田が住んでるビジネスホテルの従業員で2年間ずっと挨拶してたのに無視

されてたかなんかで、謎の絡み方してくるあの女。

え?

そりゃ挨拶は返す方がよいが、そうじゃなくて惚れてたんでしょ?

嘘ついて近づいて結局逆ギレってなんだ?

あと実家帰るっつってたけど、最後そこらへんでラッパ吹いてたの何。

 

他、松田パート、角田パートも全く魅力のない恋模様でしたね。

彼女たちは物事をきちんと考えられない人なの?

 

そして、全く現実感のない「変わってる人」こと市川実日子

造形が浅すぎませんか。その程度の描写で変人を押し付けられても、、、

 

 

 

後半、満を持して登場のオダジョー。(韻)

ファンタジーを体現するかのごときキャラ設計。。。

君の感情経路は一体どうなっているのだ。。。。

(過去の経験からだったとしてもあまりの安直な表現では)

 

この時、松の社内でも揉めるんですが、(おそらく)右腕のメアリージュンの

反旗の翻し方とか笑っちゃいました。もうちょいやりようないんかい。

 

松田龍平とのララランドも特にグッと来ず。

(薄れる松田が市川好きだった設定)

 

最後に出てくる、実は亡き松母の想い人だった吹雪ジュンも全然リアリティー

なかったです。

 

 

全体的に登場人物が作り手の都合のために存在するようにしか感じなかったですね。

医大入試の男女差別、ヤングケアラー、LGBTQなどの現代の問題を匂わせたいが

ために配置されていて、彼らが作品内世界で本当に生きているように見えない。

 

フワフワした台詞の応酬も、第四の壁演出も、「それ風」にしか感じられず。

 

そこに加えて、とても素敵な衣装、豪華なセット、人物にピンを合わせた

撮影、有名人のゲスト出演、毎回変わるエンディング映像と、

ルックだけはゴージャスで、なんだか辟易しましたよ。。。

 

 

と、ここまで罵ってきましたが、良い所もありました。

 

市川実日子が死んだ時の病院でのシーン(愁嘆場をやらない粋)

松父とのラストの会話(父の語りのリアルさ)

 

役者さんもメインの方々は素敵でした。

松田龍平の全く気負わない芝居にとても好感持ちましたし、岡田将生はかわいかったし、角田晃広の職人的テンポはさすが。

 

しかし何と言っても松たか子でしょう!!!

 

もうとにかく圧倒的な演技力!!!!!

滲み出てしまう陽のパワー!!!!

人柄っっっ!!!!!!!!!

 

坂元氏が彼女に惚れ込んでいる事がよく伝わってきました。

 

なので、今作は「松たか子礼賛ドラマ」という位置付けでいいのではないでしょうか。

 

ラスト、元夫と松たか子4人でキャイキャイしてる様子がなんだか永遠に抜け出せない

煉獄のように思えて、ドンヨリした次第です。。。

 

というわけで、私にはまっっっっっったくハマりませんでしたが、

楽しんだ方も大勢いらっしゃると思うので、うん、そういうこともあるよねって

感じで散らし終わります!!!!