ナイフと手斧と金槌と『犯罪都市』
『犯罪都市』 韓国映画/2017年 (原題:The Outlaws)
(!ネタバレあり!)
ソウル南部衿川警察に勤務するマ・ソクトは地元暴力団同士の手打ちや情報収集などをギリギリアウトな方法でこなす毎日。
そこへ朝鮮族暴力団が進出し、事態が混乱していく。(実話ベース)
『悪人伝』を鑑賞した流れでこちらも観て参りました。
めちゃくちゃ楽しかったです!!個人的には『悪人伝』より好みでしたね。(「悪人伝」は自分の上げすぎたハードルに振り回されただけですが、、)
序盤、ソクト刑事(マ・ドンソク)がヴァイオレンスたっぷりにサクサクお仕事する愉快なシーン。
携帯片手に光もん振り回す輩2人をサクっといなす。この程度はイージーモード。
しょっぴいた奴の口割らせる為、真実の部屋(ただの部屋の隅)でフルフェイスメット被せて殴る殴る。
ある組織の組長がやってるお姉ちゃんのいるお店に顔出してはせっせと情報収拾。(ののち泥酔)
でも地元商店街の皆さんには優しい。
そんな治安良くない地域の清濁併せ呑みデカをさすがのコメディアン力で演じてらっしゃいました。
チーム感も良かったですね。気になるヘオ・ドンウォンさんをたくさん観れて嬉しかったです。
そして韓国映画における悪役の華、朝鮮族ヤクザの皆さん。素敵でしたね~。
(あくまで朝鮮族のヤクザです。色々な作品に次元の違う奴らとして登場する事が多い朝鮮族ですが、その中のヤクザが悪役なのです。差別の助長になったら嫌なので明記致しました。)
顔力ね。坊主のソンラク演じるチン・ソンギュ氏(もう引っ張りだこの方ですが)、ネットで画像検索するとめっちゃ普通~!!!(どういう事~!!!)
物語は2大勢力の1つを乗っ取った朝鮮族ヤクザ黒龍組がなんもかんも無視して大暴れし、地元警察、地元マフィアの三つ巴戦に突入していくとても暴力的な展開になっていくわけですが、
いつも思うのは、「暴力」それ自体 もとても怖いのですが、それ以上に「暴力を振るったその後に頓着のない人」つまり「暴力に対して全く躊躇がない人間」が1番怖いなと。
暴力団といえど、一応ルールはあるし、暴力に打って出たらそれなりの覚悟をせんといかんという暗黙の了解があるわけですが、そこらへんまじでどうでも良いし全然興味ないとする黒龍組がやっぱり最高に怖い。
武器も包丁と手斧っていう原始的さ。手斧て。どうやって持ち歩いてんの?(牛骨には負けるけど笑)
中盤、捜査から外されそうになったソクトが、ほんとはもう罠仕掛けてるから逮捕は時間の問題だし、なんなら全滅出来る!!とはったりかましちゃったもんだから、
やべーやべーとなりながらも、地元の皆さんに協力を仰ぎつつ終盤の大捕物劇へ。
ここも特に混乱することなくスマートな作りで見やすかったです。
序盤に出てきたあの2人組が大活躍でしたね。(語学力って大事!)
最後はお待ちかねソクトとボス、チャン・チェンとの一騎打ち。
掴みで笑かしてからの大乱闘。(ここの「1人か?」「ああ、まだ独身だ」のくだり、脚本家天才でしょ)
この作品でこいつらが最も強いのだという事を分からせてくれる説得力満載のヘビー級試合でした!
きっちり事件解決して、ラストはマブリーの笑顔で締める!!5億点!!!!(©宇多丸師匠)
ヴァイオレンス、シリアス、コメディのバランスが良く、大変楽しい作品でした!
大満足!!!