もう1度何をしたかったのか考えよう『プライバシー戦争』

『プライバシー戦争』韓国ドラマ/2020年 (原題:私生活)

!ネタバレあり!

 

推しの1人であるコ・ギョンピョが主演したクライムアクションドラマであり、漏れ聞こえる評判も良かったのでイソイソと観てきました。

 

 

またしても序盤はほんっっとーーーーーに良かった!

3話目くらいまで、ほんっっっっっとーーーーーに良かった!!!

 

 

冒頭、家族ぐるみで詐欺を働く一家の1人娘ジュウンが刑務所を出所した所から一転、過去に戻りそれまでの経緯が語られる作りですが、本当にテンポが良く洒落もきいていて、とても楽しかったです。

 

娘を使って当たり屋をしたり(ひどい笑)、傷痍軍人の振りして小銭稼いだりしていく内に大手の詐欺組織にフックアップされ、事態がどんどんでかくなるが機転で乗り切っていくさま(ここのお父さん最高)は小気味良いし、

詐欺行為自体をドキュメンタリーと呼ぶ、その世界での玄人感も良い。

 

キャラもまたいいんです。

主人公ジュウンのハスッパさ、お父さんの実は人の良さそう加減、母親のふてぶてしさ、刑事のおばちゃん、大手組織の 女ボス、不時着耳野郎のセクシーワルワル感、

そして本作を観た人なら誰もが惚れる事間違いなしのワンハンド先輩!(第二のマ・ドンソクとなるか、冷蔵庫系ボディー男子の新星テ・ウォンソク!)

 

彼の所作、非常に良かったですね~。

父親がしょっぴかれて泣いてるジュウンにトイレットペーパーをロールで渡す。無骨!無骨の極み!!

熱唱もかわいいですしね。

 

そしてコ・ギョンピョ演じるエリート会社員ジョンファン。

ピザをむせるあの演技。ああいう細かいところがすごく上手いと思います。

 

とまあ、ここまではテンションマックスで最高に幸せだったんですが、そっからでしたね。。。

 

まず現在パートでおばちゃん刑事がサクッと退職して焼肉屋になってる時点でちょっとテンション下がりました。

すごく良いキャスティングだったのに、、、

 

その後の展開はショックの余りもうすでに記憶がボンヤリしてるんですが、頑張ってみます。

 

この話、初めは詐欺サラブレットジュウンが色んな詐欺やってたくましくなりつつ、父親の仇打つリベンジものアンド、うっかりエリートと恋しちゃって結婚までこぎつけたけどいつバレるかなものをコメディタッチに描くのかと思いきや、中盤からめっちゃ巨悪出てきちゃうんですよね。

 

そこからは登場人物たちが、あっち行ったりこっち行ったりをずっと繰り返してました。

 

もう色々言いたい事はあるんですが、

 

1 帳簿の扱い

 

キーアイテムとして出てくる、ある帳簿。(持ち主は殺害済み)

これには韓国の大物たちの金銭的悪事が詳細に記されているわけです。これが世に出たら超まずい。

こちらとしては、なるほどこれがマクガフィンで、この帳簿の行方によって話が展開していくのだなと当然思うわけですが、この帳簿、気づいたらみんな持ってる。コピーとか写メとかして。それじゃ意味ないじゃん。みんな持ってたら意味ないじゃん。

 

2 監視がザル&危機設定がヌルい

 

ここに出てくる巨悪こと大企業GKの秘密部門のなんちゃら室。

このなんちゃら室は、個人のスマホ、PC、街中の防犯カメラ全てを網羅してるらしいんです。

一方、途中逃亡状態になった主人公2人は結構街中をラブラブでフラフラするんですね。いや秒で見つかるだろ。

 

3 事象が集約していかない

 

物語を畳むためには、最終話に向けてこれまでの様々な事象が集約していかないといけないと思うんです。

そのために伏線などを張るわけで。

しかし、このドラマ最後まで風呂敷広げます。どんどん知らん人とか出てきます。

 

 

そして最終話、もう半分白目で観てましたが、この最終話すごかったですね。これはあれかな、小学生が書いたんかな。

黒幕が白状したところで、そりゃそうでしょうよ、あんたしかいないでしょうよと思いましたし。国家情報院の無双っぷりとか。じゃあはじめっからあの人達が全部やればいいじゃん。

物議を醸すレベルでもないあの最終シーンも全く洒落がきいてない。

ここまで心折られたドラマは久しぶりですね。

 

序盤あんなに輝いていたキャストも、最後は芝居のしようがないように感じました。

最終的には方向性がフワッとしたまま色々詰め込んだら辻褄が合わなくなって最後はとりあえず周りをセメントで固めときました!

といった印象です。

 

これだったら、こんなに風呂敷広げず例えば

 

詐欺師の主人公が運良くエリートと結婚出来たと思ったら、実はそのエリートが何枚も上手の詐欺師であり、

お互いいつばれるかばれないサスペンスを周りを巻き込みながらコメディタッチに描きつつ、うっかり巨悪の一端に触れてしまい共闘しながら真のパートナーになる(フィクションラインは低めで)

 

とかの方が良かったのでは。原題も私生活だし。

 

と、色々罵ってきましたが勿論良かったところもあります。

前述の通り序盤は最高だし、役者さんも力のある人ばかり。(あの興信所の女性スタッフだけは非常に浮いてましたが)

ラストあたりの耳野郎ことキム・ヨンミン渾身にキスシーンは内臓にガツンときましたしね。

 

といったわけで、話を作る際は何を語りたいのか今一度熟考する事が大事だなと思いました!