ライトに楽しむデスの旨味『イカゲーム』
『イカゲーム』 韓国ドラマ/2021年
事業に失敗し、巨額債務者の中年ソン・ギフンはある日奇妙なゲームに参加する事となるが、、
(ネタバレあり!!!!)
全世界で爆流行りの『イカゲーム』を観賞してまいりました!
普段自分はほとんどデスゲームものは観ないタイプで、かろうじて「バトルロワイヤル」「CUBE」「ハンガーゲーム」「SAWシリーズ」を2作目までくらい、、。
漫画も「カイジ」と「GANTS」の有名エピソードをちょろちょろっと読んだ程度です。
なのでネッフリに上がってきた当初は全く食指が動かず観るつもりはなかったのですが、流行りもんには乗っておこう精神で完走しました。
全体的に悪くはなかったと思います。
むしろ作り手側のスタンスが明確で、そこは好感が持てました。
私の受け取ったスタンスは、
1 デスゲームの旨味を分かりやすく抽出
2 ゲーム攻略そのものよりプレイヤーに重点
の2点です。
デスゲームの旨味っておそらく、
・人がゴミのように死ぬ(&殺され方)
・極限状態で浮き上がる本性や人間模様
・ある種の天才や弱者がゲーム攻略のキーマン
なのかなと思ってまして。(素人考えですが)
ここら辺を非常に分かりやすく、簡潔に提示していたと感じました。
とにかくゲームのルールが超単純。
だるまさんが転んだや型抜きなど子供の遊びがテーマなので観てりゃ分かる。
(正直、これはとても助かりました、、。自分、ゲームルールの覚えが極端に悪い人間なので。
HUNTER×HUNTERのクロロvsヒソカ戦は何回読んでも分かりません、、。)
ギリギリ説明のあるイカゲームですら、秒で肉弾戦になりましたからね。
凄惨な場面の対極にある幼稚なビジュアルもインパクトありますし。
なので、視聴者はキャラクターに集中力を全振り出来る作り。
ここが上手かったんだと思います。
全員、巨額債務者であるわけですが、この場に参加するに至った事情をきちんと見せて(勿論メインキャストだけですが)、それぞれに感情移入させる。
また、キャラクターも分かりやすい分類で混乱しないように設定してあります。
主人公であるソン・ギフンを演じるイ・ジョンジェ氏。
観てる間、ずーっと「新しき世界」の主人公に似てるなと思ってたら、その人でした。役者って凄い。
序盤はしょうもないクズだし、馬鹿っぽいし、見た目も冴えないけど、観ていく内にこいつイイ奴だな、生き残って欲しいなと思わせる魅力がありました。人懐っこい笑顔が良かったですね。
まだ何も知らない頃
ギフンの幼馴染でソウル大学出の秀才チョ・サンウを演じるパク・ヘス氏。
エリートだったものの先物で失敗し、横領罪などで逃亡中。
こんなはずじゃ無かった人生に絶望し、悪魔に魂売っちゃったサンウ。一線を大幅に超えたアリとのビー玉戦、良かったっす。
目が良い
脱北者であり、家族と暮らすためにスリを繰り返すカン・セビョクを演じるチョン・ホヨン氏。
私、この方めちゃくちゃ好みでした。
モードな見た目に低い声、すさんだ雰囲気を抑えた芝居ににじませてて、こんな素敵な役者さん知らんかった!と思ったら今作が初出演だそうで、、。すげーや。(ジヨンとのビー玉戦は泣いた、、)
この方は今後も追っていきたいなと思います。
パリコレとか出ちゃうモデルさん
モードよーーー!!!
その他、出稼ぎ労働者のパキスタン人アリや、
筋もんのドクス(ホリエモンって言われてて笑った)、色んな意味でたくましい厄介おばさんミニョ、脳腫瘍で老い先短いじじいイルナムなど、
アジア人見分けつかない問題にめっちゃ配慮した布陣。
イケメン枠として、行方不明の兄を探し潜入した刑事ジュノ(彼は崖から落ちたので生きてます)。
そして大スターである、コン・ユとイ・ビョンホンをぶっ込む幕の内弁当!!
(世界を獲ってやるぜ感がビンビンで景気良かったっすね。)
ストーリー展開も予想はつくものの、丁寧に作ってあったと思います。
なんていうか、真摯だなと。
作り手側が舐めてないんですよね。
特にジャンルものは「こういうのやっときゃいいんでしょ」感が出るとこちらはすぐに察知するんで。
それが無く、良い役者陣で熱く作られていたなと感じました。
んーーーーとは言えですね、、
凄くテンションが上がる作品かと言われると全くそんな事ないというか、、
終盤にゲーム開催の黒幕と優勝者のギフンが対峙するのですが、ここかなぁ、、。
黒幕は例の脳腫瘍じじいイルナムだったわけですが(これは完全ノーマークでした)、
そのイルナムは超絶金持ちゆえ、人生がつまんないから楽しむために、このゲームをやったと。
いや、楽しむためっていうのは最初から分かってたんですよ!!
そりゃそうでしょうよ!!!
そういう理由は100万回観たことあるから、その先をやってほしかったんすよ!!!!
別に整合性とかいらないから、こんな馬鹿げたゲームを開催しちゃう位の狂気じみた何かが観たかった、、、。
死にかけのじじいの独白にドン引きしたかったんすよ、、、。
ここがもっと強ければ、かなり印象は変わったと思います。
ラスト、髪を赤く染めて心機一転したギフンが娘のいるアメリカに向かおうとする途中、ゲーム続行に気付いてしまい、再度乗り込む決意をした所で終了。
(髪赤っ!なんで?!って思ったんですが、監督によると怒りが込められてるそうです。ふーん)
おそらくイ・ビョンホンがじじいの遺志をついでるんでしょうなぁ。弟刑事も生きてるし、シーズン2は作られそうっすね。
観賞後は何とも言えぬ凪いだ心持ちになったのですが、デスゲームものを全く観た事ない人だったら楽しめるのかしら、、と思った次第。
良いところもたくさんあった作品だとは思います。綱引きの勉強にもなったしね!
そして流行りもんを観とくと世界中で作られているパロディ動画も楽しめるんで、損はないかなと!!!
って感じです!!!
追記:日本のデスゲーム作品のパクリだという意見、そんな事言ったら全ての作品は過去作品の何らかの影響を受けて作られていると思います。