見た目はおもしろ、中身は虚無『シャザム!』

『シャザム!』(原題:Shazam!)

2019/アメリカ映画

 

(!ネタバレあり!)

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幼い頃、母親と生き別れ里親を転々とするビリー・バットソンはある日魔術師からスーパーパワーを授けられ、「シャザム!」と叫ぶと大人のヒーローに変身出来るようになる。

 

 

 

 

休日の夜に軽く映画でも思いアマプラにて鑑賞しました。

 

 

 

 

シンプルにつまらなかったです。

 

 

別にこちらも、よし!大傑作とおぼしき作品を観てやるぞ!と意気込んでいたわけではないのですが、ちょっと予想を遥かに上回るつまらなさでした。

 

おい、DCまじで大丈夫か?

 

 

冒頭、70年代、とある少年(後のヴィラン)が父兄と祖父家へ車で向かう途中、魔術師に呼ばれ「純粋な心を持つものにパワーを授けうんたらかんたら」と言われるものの、横にあった魔物封印ボールに気をとられ不合格。(家族の爪弾きものだったこともあり、その後こじらせる)

 

現在、都会で母親探しながら、たくましくっぽく生きる主人公ビリーは新たな里親に迎えられ、他5人の里子と共に共同生活を始める。

そのうちの一人、小柄で脚が悪く学校でいじめられてるが口の達者なフレディと相部屋になり、なんだかんだ一緒に行動する。

 

ある日、なんか知らんがビリーはずっと勇者を探してたあの魔術師に召喚され、パワーを伝授、シャザムと叫ぶとアラフォーくらいの男性ヒーローに変身出来るようになる。

 

フレディとスーパーパワーではしゃぐ。ネットにアップする。話題になる。

 

一方おじさんになったヴィラン(サド?だっけか?)は、長年の研究の末、魔術師のところに辿り着き、魔物を自分に取り込んで(なんで魔術師死んだんだっけ)父兄その他をぶっ殺し、完璧なパワーを求めてビリー探す。

 

ビリー見つかって危機一髪。逃げる。

 

里子の一人がビリーの生き別れた母親見つけて会いに行くが、一緒に住む感じじゃなくてすぐ諦める。

 

その間、家がヴィランに見つかって、あーだこーだあって、最後里子全員スーパーヒーローになって、ヴィランも捕まえる。

 

です。

 

 

 

 

今作、基本コメディなんですが、

 

・テンポが悪い

・ギャグが滑る

・キャラが書割

 

この3点かと。

 

 

もうプロローグの時点で、あっ、、、、って感じましたもん。

少年が召喚された洞窟は安いし、彼が純粋そうな描写もないし、帰されてから乗ってた車にトラックが追突するんですが、車が止まってから追突されるんですよ。

いや、走行中にされろよ。

この、間の悪さが最後まで続く感じです。

 

 

 

キャラクターも特に魅力がなく。

 

主人公は里親を転々としながら、行方不明の母親との再会を夢見てる少年ですが、ちょっと荒れてるけど頭キレるとか、野生で磨いた腕っ節が素敵とか別にない。

普通にしか見えない。(最初のパトカーうんぬんだけじゃ弱いでしょ)

なんでヒーローに選ばれたのかわからん。(一生懸命母親を探してたから?フレディをちょっと助けたから?それくらいは庶民もするよ?)

 

里子仲間もオーソドックスなキャラ造形で、オモシロイっぽい台詞を一人ずつ喋ってるだけ。

(紹介シーンの掛け合い無し感にげんなり。)

 

 

唯一、非常にキャラがたって(といってもよくある感じだが)、役者本人のポテンシャルでコメディリリーフ、フレディを好演していたジャック・ディラン・グレイザー。

あのITで、病気がちな子を演じていた彼です!

私、ITでは彼が1番好きでした!

こんなザルな脚本演出でも、きっちり一定以上の仕事をするこの方は末長く活躍されるんじゃないでしょうか。

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一人だけ群を抜く芝居をされたグレイザー氏。

 

そういう意味で、こじらせ中年ヴィランを演じたマーク・ストロングにも救われたかなと。

この方も大好きな役者さんです。

(このサドに関しては、長年あの洞窟へ行く方法探してた割に、解決方がめっちゃ簡単だったけど?!お前、阿呆か?!!)

 

こういった、どんなレベルの作品でもきちんと存在感やリアリティを持って演じられる俳優さんってほんと尊敬します。

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スッキリとしたヘアースタイルが魅力のストロング氏。

 

 

 

 

ギャグもね、それじゃ笑えないというか。

コメディって本人たちは至って真剣な上で噛み合わない状況が笑いを誘うんだと思うのですが、本作は笑わせるための台詞や演出なんですよ。

それだと萎えるんです。

(最後の方で、大人姿のヒーローとなった末っ子ダーラが職業サンタに向かって、「私はすごくいい子よ」とこっそり言ってサンタが困惑するシーンが1番正解に近いのでは)

 

 

 

そしてストーリーのテーマの一つは「家族とは」なんでしょうけど、そこも、、、

 

 

ヴィランは幼少期から実の父兄に馬鹿にされ続け、愛を得られずに闇落ち。

かたや主人公も実の母に再会したら捨てられた事が判明し、新たな家族と真の絆を結ぶ。的な。

 

この母問題ですけど、まず祭りで迷子になったくらいで生き別れるか?(「国際市場で逢いましょう」観た事ある?)赤子のときならまだしも結構喋れてたじゃん。

しかも同じ街に住んでたっていう。

で会ったら会ったで、めちゃくちゃ物分かり良く引き下がる。彼、思春期ですよ?じゃなくてもこんなん絶望するでしょ。

人間描く気あんの?これ、ヒーロー誕生譚でしょ?

 

里子たちとの関係も、フレディは置いておくとして、他の奴らと殆ど絡んでないよね。

あの母探しノートとハッキングで全部回収したつもりだろうけど、だったら彼らも初めからヒーローはしゃぎに巻き込む方がまだましでは。いつ絆育んだの?

一緒に住んでる設定のメリットゼロですわ。

 

 

他にも、魔術師が無能すぎるし(もっと精査しろよ!)、ジョックスは華無いし、トラの人形を出してくるのとかどうでも良いし、無駄になげーし、、、

(正直、テンポが良くて笑えれば、物語上の矛盾とか詰めの甘さって勢いで押し切れたりすると思うんですが、本作はとにかくそこが壊滅的だった。。)

 

 

こりゃあ、マーベルに水を開けられるわけだよ。。。

 

DCヒーローものはノーランのバットマンくらいしか観てないんで、これから観ようかなと思ってたんですが、めちゃくちゃ出鼻を挫かれましたわ。。。

 

なんか続編作る気っぽいですが(里子ヒーロー達が活躍するんでしょ)、こんなんだったらもう観ないす。

 

 

というわけで、久々に白ける映画を観ましたが、これはこれで勉強になったような気がするので鑑賞自体は良かったようなことにしたい気がします!!!(せっかく休日の時間使ったんだしな!!!!)