それに感情を乗せてくれるな『地獄が呼んでいる』

『地獄が呼んでいる』(原題/HELLBOUND)

韓国ドラマ/2021年

 

 

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 (ネタバレあり!!!)

 

 

 

突如、死亡宣告をされた人間が予定時刻に3体の黒い使者の手で残虐に殺害される超常現象が起きるホラースリラー。

 

 

 

ぼんやりネッフリを開いたら、自分好みのティザーが流れてきたので、イソイソと鑑賞してまいりました。

 

 

 

んーーーーーー

 

乗れなかったですねーーーーーー…

 

 

観てる間、ずっと胸糞悪かったです。

 

 

 

 

この胸糞悪さの原因をずっと考えていたのですが、

 

今作の、いきなり死亡予告をしてくるデカくて怖い顔と当日ぶっ殺しに来る3体の何か、そしてこの現象自体の謎は最後まで解明されません。

 

まぁこれは、理不尽に「死」をもたらす災害や疫病などのメタファーなんだと思います。

 

奴らの諸々のデザインは置いといて、それ自体はいいんですが、

 

うーん

 

その現象に凄く感情が乗っているように見えたんですよね…。

 

 

特に3体の方はなんかバチ切れてて、殺す際に物凄く凄惨なリンチをするんです。あんなパンチ喰らったら人間なんて一発で粉々になると思うんですが、とにかく執拗に殴ったり斬りつけたりする。でも何故か被害者は最後まで意識があって、生きながら消し炭になるまで業火で焼かれると。

 

 

災害や疫病に感情など無いはずなのに、それを感じてしまう、そしてその先に作り手側の感情が透けて見えてしまったというか。

 

 

何というか全体的により過激に過激にという思想が感じられたんです。

 

 

物語を語る上で必要な表現なら、どんなにキツい描写でも割と大丈夫なんですが、今作はそれが目的化してないか??と。

 

おそらくそこが自分にはしんどかったのではないかと思います。(とにかく子供を絡めてくるのも辛い。新生児が地獄へ堕ちるって何だよ)

 

(それにあの暴力と地獄という文言、何かの怒りを買ったとしか思えないし、だとすると死に対して詳細は分からんが何かの怒りを買ったからという説明が出来てしまう。何もかも全く分からないから死は恐ろしいものなのでは?)

 

 

一方で、この超常現象を神の審判と勝手に意味付けて民衆を煽り、私腹を肥やしまくる新興宗教団体の描き方は皮肉がきいてて良かったです。

自分は宗教の歴史に明るくありませんが、こういう事が至る所で繰り返されてきたのであろうと容易に想像できました。

 

 

主要な登場人物もとても魅力的な造形だったと思います。

ただモブとしての群衆の扱いがちょっとザツ過ぎないかと…。(あの凄惨な生中継の後、病院にも警察にもひとっこ1人いないってどういう事?)

 

キャラクターの行動も展開の為にある様な所がちょいちょい散見されて萎えました。

(我が子が明日死亡宣告されてるのにノコノコ職場に出社するか?)

 

 

全6話というタイトな作りも影響しているかもですが、今ひとつ入り込めなかったですね。

 

 

とはいえですね、役者陣は本っ当に良かったですよ。

 

 

初代議長チョン・ジンスを演じたユ・アインの芝居は素晴らしかったですし、刑事の娘を演じたイ・レの復讐を果たした時の表情。君は「ミッドサマー」のフローレンス・ピューか。

 

後半の主人公ぺ・ヨンジェ役のパク・ジョンミン。「応答せよ1988」でのボラの感じ悪い元カレですよ。「ザバハ」でめっちゃいい味出してましたし、今回の飄々とした出だしからの感情の振れ幅、最高でした。大好き。

 

弁護士役のキム・ヒョンジュはすんません、一瞬ユン・セリかと思っちゃいましたが、アクションのキレ良かったです。願わくば、あそこまでの暴行受けたんだから、片目失明とかして「来る」の柴田理恵くらいのインパクトは欲しかったですが。

 

他も2代目議長の胡散臭さとか、ヤン・イクチュンの華の無さとか、ユン執事(だっけ?)とか煽り系YouTuberとか…。

 

 

画面の色合いも高級感ありましたし。

 

 

見応えがあるといえばある作品なので、ただ単純に自分の嗜好と合わなかったんでしょうね。

 

私にとっては非常に気分の悪い作品でした。

 

周りの観た人達にも色々聞いてみたい所です。

 

というわけで散らし終わりまーす!